こんにちは。サザンクロスです。
私たちは、スポーツと音楽を通じて、精神の障害者と健常者がともに活動するサークルを運営しています。
私たちの出会いは、とあるクリニックの精神科・心療内科デイケアでした。
デイケアというのは、医療・福祉サービスの一環で、患者が日中や夜間に集まる場所です。スポーツや音楽、手芸、外出などのプログラム活動を通じて交流をはかり、病気の再発予防や社会復帰を目標としています。
私たちのデイケアでは、バレーボールの人気がありました。普段は地域の体育館を借りて練習し、年に数回あるバレーボール大会をめざしてがんばっていました。手芸作品を作ってはクリニックのロビーで売ったり、バザーに出品しました。また音楽はみんなでバンドを作り、地域のお祭りなどで演奏していました。
ここで薫さん(仮名)を紹介しましょう。
重たい鬱の期間は家から一歩も出ることができず、体力が落ちてしまいました。食事も取れなくなったりして痩せてしまい、気力も無くなった結果、仕事も退職せざるをえませんでした。
また躁の期間に入ると、気分が異常に高まって夜も寝られず、やたら友人知人に電話をかけまくったりしました。外出しては思いつきで行動し、多額の買い物をしたりして家族に迷惑をかけました。結果、友人はひとりふたりと薫さんから離れていき、家族とも溝ができてしまいました。再び鬱状態におちいり、八方塞がりです。
そんな薫さんは主治医のすすめで、デイケアに通うことになりました。8年前のことです。
最初は週に一回しか通えなかった薫さんですが、次第にデイケアに慣れ、プログラムに参加するようになると、病気の症状が改善しました。居場所と仲間を見つけることで、病気と向き合うことができました。笑顔があふれ、体力は戻り、生活のリズムが整い、ご飯も美味しく食べられるようになりました。社会復帰にむけて光が見え始めたのです。
けれど昨年、突然デイケアが閉鎖することになりました。
病院の経営難が原因で、クリニックもデイケアも無くなりました。本当に急なことでした。
薫さんも含め、私たちは悲しみに暮れました。居場所と仲間がいなくなることは、大きなストレスとなり、また病気がぶり返すのではないかと不安になりました。もちろん私たちの家族も、大きな深い穴に落とされたように失望しました。
私たちは思いました。
「この仲間でもっと活動を続けたい! もっともっと元気になりたい!」
こうして作られたのがサザンクロスです。
せっかく生まれた笑顔を絶やしたくない。人との交流が、病院から処方される薬と同じくらいに効き目があることは、もう証明済みです。
私たちの願いに賛同してくれたボランティアの人たちも、一緒にバレーボールやバンドを楽しむようになりました。看護師や精神保健福祉士の人たちが参加してくれているのは、とても心強いものです。
しかし、今のサザンクロスは単なる有志のサークルに過ぎません。
「仲間をもっと増やしたい。デイケアに並ぶような団体になって、笑顔を作りたい」
次第に、サザンクロスはNPO法人を立ち上げたいと考え始めました。
家族やボランティア、当事者で何度も話し合いをしました。
でも、人的不足、資金不足などで未だ法人設立の道は閉ざされたままです。私たちは、あともう一歩のところで立ちすくんでいます。
「スポーツと音楽を通して、障害者と健常者が共に活動できる場を作りたい。病気に立ち向かっている人の回復につながる活動を続けたい」
それがサザンクロスの目標です。
精神の障害は、誰もがなり得る可能性があります。
だからこそ、病気への理解が必要です。
今病気で苦しんでいる人たちはもちろん、患者の家族や友人に対し、私たちそれぞれの経験が役に立つことがきっとある。病気の理解を深め、どん底から立ち上がろうとしている人と、手を取り合う社会を築いていきたい。多くの皆様と一緒に明るい未来を作りたいのです。
このブログでは、サザンクロスのメンバーとボランティアが、日々の活動や個々の興味のあることについてつづっていきます。
どうぞよろしくお願いします。