サザンクロス日誌  見つけた、わたしの居場所。

スポーツと音楽を通して、精神の障がい者と健常者がともに活動するサークルです。

初めましてのごあいさつ

こんにちは。サザンクロスです。

 

私たちは、スポーツと音楽を通じて、精神の障害者と健常者がともに活動するサークルを運営しています。

 

私たちの出会いは、とあるクリニックの精神科・心療内科デイケアでした。

デイケアというのは、医療・福祉サービスの一環で、患者が日中や夜間に集まる場所です。スポーツや音楽、手芸、外出などのプログラム活動を通じて交流をはかり、病気の再発予防や社会復帰を目標としています。

 

私たちのデイケアでは、バレーボールの人気がありました。普段は地域の体育館を借りて練習し、年に数回あるバレーボール大会をめざしてがんばっていました。手芸作品を作ってはクリニックのロビーで売ったり、バザーに出品しました。また音楽はみんなでバンドを作り、地域のお祭りなどで演奏していました。

 

ここで薫さん(仮名)を紹介しましょう。

薫さんは、12年前に双極性障害躁鬱病)と診断されました。

重たい鬱の期間は家から一歩も出ることができず、体力が落ちてしまいました。食事も取れなくなったりして痩せてしまい、気力も無くなった結果、仕事も退職せざるをえませんでした。

 

また躁の期間に入ると、気分が異常に高まって夜も寝られず、やたら友人知人に電話をかけまくったりしました。外出しては思いつきで行動し、多額の買い物をしたりして家族に迷惑をかけました。結果、友人はひとりふたりと薫さんから離れていき、家族とも溝ができてしまいました。再び鬱状態におちいり、八方塞がりです。

 

そんな薫さんは主治医のすすめで、デイケアに通うことになりました。8年前のことです。

 

最初は週に一回しか通えなかった薫さんですが、次第にデイケアに慣れ、プログラムに参加するようになると、病気の症状が改善しました。居場所と仲間を見つけることで、病気と向き合うことができました。笑顔があふれ、体力は戻り、生活のリズムが整い、ご飯も美味しく食べられるようになりました。社会復帰にむけて光が見え始めたのです。

 

けれど昨年、突然デイケアが閉鎖することになりました。

病院の経営難が原因で、クリニックもデイケアも無くなりました。本当に急なことでした。

薫さんも含め、私たちは悲しみに暮れました。居場所と仲間がいなくなることは、大きなストレスとなり、また病気がぶり返すのではないかと不安になりました。もちろん私たちの家族も、大きな深い穴に落とされたように失望しました。

 

私たちは思いました。

「この仲間でもっと活動を続けたい! もっともっと元気になりたい!」

 

こうして作られたのがサザンクロスです。

 

せっかく生まれた笑顔を絶やしたくない。人との交流が、病院から処方される薬と同じくらいに効き目があることは、もう証明済みです。

 

私たちの願いに賛同してくれたボランティアの人たちも、一緒にバレーボールやバンドを楽しむようになりました。看護師や精神保健福祉士の人たちが参加してくれているのは、とても心強いものです。

 

しかし、今のサザンクロスは単なる有志のサークルに過ぎません。

「仲間をもっと増やしたい。デイケアに並ぶような団体になって、笑顔を作りたい」

次第に、サザンクロスはNPO法人を立ち上げたいと考え始めました。

家族やボランティア、当事者で何度も話し合いをしました。

でも、人的不足、資金不足などで未だ法人設立の道は閉ざされたままです。私たちは、あともう一歩のところで立ちすくんでいます。

 

スポーツと音楽を通して、障害者と健常者が共に活動できる場を作りたい。病気に立ち向かっている人の回復につながる活動を続けたい

 

それがサザンクロスの目標です。

 

精神の障害は、誰もがなり得る可能性があります。

だからこそ、病気への理解が必要です。

 

今病気で苦しんでいる人たちはもちろん、患者の家族や友人に対し、私たちそれぞれの経験が役に立つことがきっとある。病気の理解を深め、どん底から立ち上がろうとしている人と、手を取り合う社会を築いていきたい。多くの皆様と一緒に明るい未来を作りたいのです。

 

このブログでは、サザンクロスのメンバーとボランティアが、日々の活動や個々の興味のあることについてつづっていきます。

 

どうぞよろしくお願いします。